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波絵①

波絵

namie

560×720cm

油性インク、アルミ板、紙

2020年完成

「波絵」は細かい手描きのドットをスクリーンプリントの版にし、同じ場所に何十版ものインクを刷り重ねて制作しています。ドットは色を変えて何層にも刷り重ねているため積層する絵具の柱の集積として出現していきます。こうして刷り上がってきた作品のピースをパズル状に組み合わせていき会場に合わせたサイズを展開します。

ぎっしり並んだインクの柱は、見る角度や鑑賞者の動きによって見せる色を変えていきます。

小野耕石 波絵

何十版もインクを刷り重ねていくため、途中でイレギュラーが起こります。刷れなくなったり、隣同士の色柱ががくっ付いたり、つぶれたり。この現象はほぼ自然に表れてきます。紙や制作時の湿度、気温にも左右されます。

小野耕石 波絵インクが立体的に制作されているため、作品には光と影が内包されていきます。光が差し込む方向から見ると、発色よく色鮮やかな色面が広がり、逆光から見ると、作品に影が入り込み深い色合いに見えていきます。(日の入りの田園風景のように)

小野耕石 波絵順光

小野耕石 波絵逆光

作品は見る角度でも色合いが変化するため、歩いたりしゃがんだりして作品を眺めてみると、少しずつ変化する色合いを感じることができます。

小野耕石 波絵新しい可能性を模索して作品制作に取り組んでいたのに、気がつけば故郷の吉備路の田園風景からの無意識の影響があるようです。作品は作ってみないとわからないことが多くありますね。特に制作後の方が色々と気づかされることがあります。

小野耕石 波絵またどこかで波絵をお見せできる機会を楽しみにしています。

 

撮影 青地大輔